椿姫

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SEP 2025 Next

 

あらすじ

 

第1幕

ヴィオレッタの住む屋敷。今夜も賑やかなパーティーが開かれており、女主人は来客をもてなしている。そこへアルフレードがガストーネ子爵の紹介でやってきてヴィオレッタに紹介される。歌を1曲歌うよう勧められた彼はいったん辞退するが皆の再度の勧めでグラスを片手に準備をする。一同の沈黙と緊張のなかアルフレードは情熱を込めて歌い、ヴィオレッタが加わってデュエットになる。さらに皆が加わって華やかに歌い上げる(乾杯の歌)。

 

別室から、ヴィオレッタが用意した舞踏会の音楽が聞こえてくる。皆で行こうとすると、ヴィオレッタがめまいをおこして椅子に座り込む。何でもないからと一人部屋に残った彼女の所にアルフレードが来る。アルフレードはヴィオレッタに、こんな生活をしていてはいけないといい、1年前からあなたを好きだったと告白する(ある日、幸運にも)。ヴィオレッタは最初は軽くあしらうが、彼の真剣さに少し心を動かされる。ヴィオレッタは椿の花を渡して再会を約し、「この花がしおれるころに」という。有頂天になるアルフレードに「もう一度愛しているといってくれますか」とヴィオレッタが尋ねると、「はい、何度でも!」と彼は応ずる。

アルフレードに続き来客が去って一人になったヴィオレッタは物想いにふける。「不思議だわ」(作品を通じ、彼女はこの言葉を各幕で1回、計3回繰り返す)と純情な青年の求愛に心ときめかせている自分の心境をいぶかる。そして、彼こそ今まで待ち望んできた真実の恋の相手ではないかと考える(ああ、そは彼の人か)。しかし、現実に引き戻された彼女は「そんな馬鹿なことをいってはいけない。自分は今の生活から抜け出せる訳が無い。享楽的な人生を楽しむのよ」と自分に言い聞かせる。(花から花へ)彼女の中でアルフレードとの恋愛を肯定するもう一人の自分との葛藤に、千々に乱れる心を表す、コロラトゥーラ唱法を駆使した華やかな曲で幕切れとなる。

 

第2幕

第1場

パリ郊外のヴィオレッタの屋敷

二人の出会いから数か月が経った。ヴィオレッタは貴族のパトロンとの華やかな生活を捨て、この家でアルフレードと静かに暮らすことを選んだのである。彼女との生活の幸福を語るアルフレード(燃える心を)は、丁度帰宅した召使いから、この家での生活費のためにヴィオレッタが彼女の財産を売却していたことを聞き、気付かなかった自分を恥じるとともに売ったものを取り戻そうとパリに向かう。

そこへヴィオレッタが登場し、彼のパリ行きを聞き(理由は知らない)、いぶかる(2度目の「不思議ね」)。そこにアルフレードの父親ジョルジョ・ジェルモンが突如来訪する。驚きながらも礼儀正しく迎える彼女に、あたりを見回し「息子をたぶらかして、ずいぶんと贅沢な暮らしをしていますな」といきなりなじったため、ヴィオレッタは「私の家で女の私に失礼なことを言わないでください」と毅然と応じ、たじたじとなるジェルモンに秘密を打ち開ける。彼女が自分の財産を息子との生活のために手放しつつあることを知ったジェルモンは非礼を詫びる。アルフレードをどんなにか愛しているかと理由を説明する彼女に対し、ジェルモンは本題を切り出す。息子と別れてくれというのである。駄目ですと即座に断るヴィオレッタに、彼はアルフレードの妹の縁談に差し支えるから、助けて欲しいと迫る(天使のように清らかな娘)。ついに要求を受け入れ、彼女は身を引くことを決心する(お嬢様にお伝え下さい)。しかし単に家を去ってもアルフレードは追いかけてくるだろう。方法は任せて下さいと請合うヴィオレッタに礼を言って、父ジェルモンはいったん去る。

 

一人になったヴィオレッタは一計を案じ、アルフレードに手紙を書く。彼女はアルフレードと別れて元のパトロンとの生活に戻る、という偽りのメッセージを送ろうとしたのである。そこへアルフレードが帰宅する。彼は父が訪ねていくという手紙を見て、すでに父が来たとは知らずに、ヴィオレッタに大丈夫だなどという。ヴィオレッタは、アルフレードの父が来るなら席を外して庭にいると言いその場を去る。別れ際に彼女は「アルフレード、いつまでも愛しているわ、あなたも私と同じだけ愛して。さようなら」と第1幕の前奏曲の後半の旋律で歌う。アルフレードは彼女の様子を不審に思うが、父親が来ることに動揺しているのだと思い込む。アンニーナが登場し、ヴィオレッタが急遽出かけたこと、手紙を預かったことを告げる。不安にかられつつ手紙を読み、アルフレードは自分が裏切られたと思い込んで激怒する。そこに父ジェルモンが再登場して、息子を慰め、故郷のプロヴァンスに帰ろうとなだめる(プロヴァンスの海と陸)。しかし息子は自分の受けた恥辱を濯ぐのだといい、パリに向かう。

 

第2場

パリ市内のフローラの屋敷

相変わらず貴族と愛人たちが戯れあう日々である。丁度仮面舞踏会が開かれている。フローラとドビニー侯爵、グランヴィル医師らは、アルフレードとヴィオレッタが別れたという噂話をしている。ジプシーの占い師やマタドールなどの仮装の後、アルフレードが登場、彼らはカードの賭けを始める。そこにドゥフォール男爵にエスコートされたヴィオレッタが登場、ドゥフォールはアルフレードを避けるようヴィオレッタに指示する。アルフレードはつきまくり、ヴィオレッタへの皮肉を言う。それに激高したドゥフォールも賭けに参加するが、ドゥフォールはアルフレードに大負けする。そこに夕食の準備ができ、一同退場する。アルフレードとドゥフォールも後ほどの再戦を約束して退場する。アルフレードの身を案じたヴィオレッタは彼を呼び出し、自分のことなど忘れ、逃げて欲しいと訴える。それに対してアルフレードは復縁を迫るが、ジェルモンとの約束で真意を言えないヴィオレッタはドゥフォールを愛していると言ってしまう。それに激高したアルフレードは皆を呼び出し、これで借りは返したと叫んで先程賭けで得た札束をヴィオレッタに投げ付ける。自分の真意が伝わらず、皆の面前で侮辱された彼女は気を失う。一同がアルフレードを非難しているところに父ジェルモンが現れ、息子の行動を諌める。自分のやったことを恥じるアルフレードと、真相を言えない父ジェルモンの独白、アルフレードを思いやるヴィオレッタの独白、ヴィオレッタを思いやる皆の心境をうたい、ドゥフォールはアルフレードに決闘を申し込んで第2幕を終わる。

第3幕の前奏曲

第1幕前奏曲と同じ音楽が、やはり弦楽合奏で始まる。いっそう悲痛な調子で演奏され、アルフレードに愛を告げる音楽はもはや登場しない。切れ切れになったフレーズでひっそりと、弱々しく終わる。

 

第3幕

パリのヴィオレッタの屋敷

数か月が経った。アルフレードは男爵と決闘して勝ち、男爵は傷ついたが快方に向かっている。国外に出たアルフレードに父親は手紙を書いてヴィオレッタとの約束を告白し、交際を許すことを伝えてヴィオレッタの元にもどるよう促しており、そのことをヴィオレッタにも手紙を書いていた。しかし、皮肉なことにヴィオレッタの生命は尽きかけていた。持病の肺結核が進行していたのである。

幕が上がると、ヴィオレッタがベッドに寝ている。彼女はアルフレードの帰りを今か今かと待ちわびている。何度となく読んだジョルジョからの手紙をもう一度読む(ここは歌わずにほとんど朗読する)。読み終わった彼女は一言「もう遅いわ!」と叫び、過ぎた日を思って歌う(過ぎし日よ、さようなら)。「ああ、もう全ておしまい」と絶望的に歌い終わると、外でカーニバルの行進の歌声が聴こえる。

 

医師がやってきてヴィオレッタを診察し励ますが、アンニーナにはもう長くないことを告げる。そこにとうとうアルフレードが戻ってくる。再会を喜ぶ二人は、パリを出て田舎で二人楽しく暮らそうと語り会う(パリを離れて)。しかし、死期の迫ったヴィオレッタは倒れ臥す。あなたに会えた今、死にたくないとヴィオレッタは神に訴える。そこに医師や父ジェルモンが現れるが、どうすることもできない。ヴィオレッタはアルフレードに自分の肖像を託し、いつか良い女性が現れてあなたに恋したらこれを渡して欲しいと頼む。

彼女は「不思議だわ、新しい力がわいてくるよう」といいながらこと切れ、一同が泣き伏すなかで幕となる。

プログラムとキャスト

2025年9月11日・2026年1月22日

ヴェルディ作曲『椿姫』 二幕による舞台上演オペラ
カタルーニャ語・スペイン語・英語および原語による字幕付き。

 

『椿姫』は、アレクサンドル・デュマ・フィスの小説『椿姫』に基づき、偉大な巨匠ジュゼッペ・ヴェルディが生み出した大作ドラマであり、世界中で最も頻繁に上演され、称賛されるオペラの一つである。華やかで広く知られる乾杯の歌、主人公による華麗なアリア=カバレッタ「Sempre libera」、そして感動的な終幕「Addio del passato」などが含まれている。
上演時間は休憩15分を含む2時間。交響楽団、独唱者、合唱、バレエ、衣裳、カタルーニャ音楽堂の特別な特徴に合わせた独自の照明演出…60名を超えるアーティストが舞台に登場する。

 

出演
Orquestra NovAria Filharmonia
アドルフ・ガッソル 指揮
ノエミ・パスキナ 客演指揮(8月17日)
マルタ・フィネストレス 合唱指揮
セルジ・ヒメネス・カレラス 芸術監督
ベン・アイシット 制作・広報
ヌリア・セラ 振付
Cor NovAria/Ballet NovAria

 

配役
サラ・チャイ・シュトラウス、サラ・バニェラス、マイリン・クルス ヴィオレッタ・ヴァレリー
ヘスス・ピニェイロ、セルジ・ヒメネス、ファクンド・ムニョス、カルロス・コシアス、オスカル・エンシナス アルフレード・ジェルモン
アルベルト・カゼス、シャビエル・ビラルタ、アントニオ・トーレス ジョルジョ・ジェルモン
ロレナ・アランダ、オリャ・シュヴィドカ フローラ・ベルヴォア
ホセ・カブレロ、ジョルディ・カサノヴァス ガストン
ネストル・ピンダド、ジョルディ・クロス マルケーゼ・ドビニー
アレハンドロ・チェレット、リュイス・ヴェルジェス、ロドリゴ・アギラル バローネ・ドゥフォール
クリスティアン・バリェステル、ヘルマン・カセッティ ドットーレ・グランヴィル
カルメ・グティエレス、サラ・B・ガルシア、アンナ・グアシュ アンニーナ
ホセ・ルイス・ゴンサレス、ロジェル・ビセンス ジュゼッペ(ヴィオレッタの召使)
ヘルマン・カセッティ フローラの従者/コミッショナリオ

 

 

2025年11月1日・2026年1月25日・2026年2月28日・2026年5月2日

ヴェルディ作曲『椿姫』
ジョセップ・ミケル・ミンダン – ジャウメ・ビリャヌエバ
カタルーニャ語字幕付きオペラ。

 

マルセル・プルーストのための『椿姫』
世界で最も退廃的な都市パリ、その洗練された退廃は、言葉にできない秘密の罪のように隠れて忍び寄る。サロンを歩む登場人物たちの唯一あり得る目的は無視された愛であり、背徳は晴れることのない霧のように純粋さを侵食する。死、それはヴィオレッタに与えられた唯一の敬虔な――そして不条理な――出口であり、堕落した彼女、快楽の対象であり犠牲でもある存在に課せられた運命である。

 

出演者
ジョゼップ・ミケル・ミンダン、指揮
ジャウメ・ビリャヌエバ、演出
ミケル・ビリャルバ、パブロ・モラレス、合唱指揮
テラッサ48室内管弦楽団
キム・テルメンス、コンサートマスター
ケビン・ドナイレ、振付
マリアナ・ジュスティナ・バラバッレ、少女ヴィオレッタの振付

 

バルセロナ大衆オペラ常設団:
ヌリア・ビラ、ヴィオレッタ・ヴァレリー
アナイス・マスジョレンス(1月31日・5月3日)、マルタ・ロカ(2月22日)、フローラ・ベルヴォワ、その友人
サラ・ガルシア(1月31日・5月3日)、クリスティナ・エスコラ(2月22日)、アンニーナ、ヴィオレッタの侍女
ファクンド・ムニョス(1月31日)、ベニャト・エギアルテ(2月22日・5月3日)、アルフレード・ジェルモン
シャビエル・ビラルタ(1月31日)、リュイス・シンテス(2月22日・5月3日)、ジョルジョ・ジェルモン、その父
ロベルト・レドンド(1月31日)、アドリア・マス(2月22日・5月3日)、ガストーネ、レトリエール子爵
ジョアン・G・ゴマ(1月31日)、アレハンドロ・チェレット(2月22日)、ジョルディ・フェレール(5月3日)、ドゥフォール男爵
ダニル・サイフリン(1月31日・2月22日)、ネストル・ピンダド(5月3日)、ドビニー侯爵
アントニオ・ファハルド(1月31日・5月3日)、リュイス・ベルジェス(2月22日)、グランヴィル医師
ホセ・ルイス・ゴンサレス、ジュゼッペ、ヴィオレッタの召使い
アリエル・セラス、フローラの召使い
ヘルマン・カセッティ、役人

 

バルセロナ大衆オペラ合唱団・バレエ団
バルセロナ県立演劇院舞踊専門学校および舞踊教師イサ・モレンの協力による

 

 

2026年5月16日 | サイクル:パラウ交響曲コンサート

ヴェルディ作曲『椿姫』
— バジェス交響楽団 & サラド
カタルーニャ歌劇財団制作

 

『リゴレット』『トロヴァトーレ』と並び、『椿姫』はヴェルディの有名な「三大人気オペラ」を形成し、世界で最も上演される作品の一つである。
物語はパリの高級娼婦ヴィオレッタ・ヴァレリーが若きアルフレード・ジェルモンと恋に落ちるところから始まる。真実の愛にもかかわらず、彼らの関係は社会的慣習と家族の圧力によって引き裂かれる。厳格で偽善的なブルジョワ道徳は彼女を幸福から遠ざけ、世間の裁きを恐れて大きな犠牲を強いる。それは華やかな外見の裏に腐敗を隠す社会の姿であり、初演時に観客が強く拒絶したのは、そこに自分たちの姿を見たからである。
ヴェリズモを先取りするこのロマンティックなオペラは、愛による救済の感動的な物語を語り、登場人物の感情を余すところなく描き出し、その内面的なドラマを鮮烈に伝える。

 

出演者
マリア・ミロ、ヴィオレッタ
アントニ・リテレス、アルフレード
ルイス・カンシノ、ジョルジーノ・ジェルモン
サバデル友の会合唱団
バジェス交響楽団
カルレス・オルティス、舞台監督
アンドレス・サラド、指揮

カタルーニャ音楽堂

カタルーニャ音楽堂は、スペイン、バルセロナにあるコンサートホール。1997年、サン・パウ病院とともに、バルセロナのカタルーニャ音楽堂とサン・パウ病院としてユネスコの世界遺産に登録されました。

カタルーニャ音楽堂は建築家リュイス・ドゥメナク・イ・ムンタネーによってムダルニズマの様式で設計されたコンサートホールである。1905年から1908年にかけて、カタルーニャ・ルネサンスにおいて指導的役割を果たした合唱団、ウルフェオー・カタラーのために建設された。建設にあたってはバルセロナの篤志家たちの財政支援も受けている。この音楽堂の建設によりドメネクは1909年にバルセロナ市より賞を受けた。

1982年から1989年にかけてオスカル・トゥスケッツとカルラス・ディアスによる大規模な修復が行なわれた。1997年、カタルーニャ音楽堂はユネスコの世界遺産に登録され、今日では毎年50万人以上の人々が交響楽や室内楽、ジャズ、伝統音楽などを楽しむためにこのホールを訪れている。

サン・パウ病院とともに、20世紀初頭のバルセロナにおけるアールヌーボー様式を伝えるものとして世界遺産に登録された。

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